適材適所

「優しい平屋」が上棟して10日ほど経ちます。  

連休明けの5月11日㈯・12日(日)の週末2日間は構造見学会を開催します。

このイベントでは完成した後では絶対に見抜けない、構造、仕組みの盲点、性能を左右する、いわば住み心地や暮らしやすさといったとても大切な部分の見学会です。 

「なんかこの家、イイな」と、ふとした時に感じる「目に見えない」感覚が味わえる住まいの理由が聞いて見て納得いただくことが出来る見聞イベントです。  

その一部を少しだけここでお話します。

写真にある構造用の木材には梁、柱、土台などが役割に合わせて材種(木の種類)が使い分けられています。

これから家を建てる一般の人にはなかなか見分けは難しいかもしれません。

どうですか?同じ木に見えませんか?

以前に土台はヒノキを使う理由について述べましたが、今からお話するのは「柱」の杉と「梁」の米松についてです。

柱はご承知の通りにまっすぐ立つ構造の部位です。

自然の山にまっすぐまっすぐ伸びて育つ杉が適材です。

比較的成長が早く日本の国土に一番多く生息している杉は、戦後、経済成長とともに住宅の供給が急がれる中、建築資材として植林されて現在に至っています。

まっすぐの木は「柱」が適材で杉を使い、また上からの荷重にもとても強いです。

 鉛筆を想像してみてください。削る前の鉛筆をまっすぐ立てて上から手のひらで押さえても折れませんよね。

強いです。

でも横にして端と端をもって曲げように力を加えると簡単に折れてしまいます。

横にはあまり向かない材種とも言えます。

次は「梁」です。

梁は逆に横に使う構造の部位です。

簡単に折れるわけにはいきません。

2階の床を支えるとか屋根を支える部分だからです。

ここでは木の材種、種類は松(米松)が適材です。これも想像してみてください。

強い風の日、海岸通りを車で走る際、道に沿って松の木がたくさん横並びに植えられていることがよくあります。

強い風が吹いても、しなりながら風の勢いを分散してくれて車が安全に走行できるよう守ってくれています。とても弾力がある木。

松は折れにくい特性があります。

特に富山は積雪1.5mある場合を想定した場合、屋根に10トン以上の荷重がかかります。

昔の家では屋根に雪が多く乗ってしまうと和室の戸が動かなくなるなんてことありますよね。

でも暖かくなって春になればその戸もちゃんと動くようになります。

松の梁は雪の重みで少し下がって、雪が解けて無くなればまたもとに戻る、弾力性がある性質を持っています。

だから「梁」には松(米松)が適材です。

構造材の部位、それぞれ同じように見える木でも種類が違うこと、役割によって使い分けること、「適材適所」。

この言葉がピッタリ家つくりには当てはまります。

余談ですが、こうした適材適所の考え方でも中には現代では構造材の梁まで富山県産材の「杉」で住宅を組み上げることも構造工法もあります。

松のように強くするために松のサイズよりもっと太く大きな材料を使わなければなりませんが、それでも地産地消で出来るだけ地元の材料を多く使い森林整備など環境に優しい家づくりもこれからの住宅つくりには必要です。

このように個人的な意見ですがいろんな可能性を住宅業界は探っていく必要があると考えています。

KUMUKUの構造見学会では、このように初めての家つくりを楽しく進めてもらえるよう、聞いて、見て、納得、共感してもらえるようわかりやすく説明しています。 

ご興味のある方は予約の空きも少なくなっていますので早めに申込ください。

茶木均
茶木均

株式会社KUMUKU 代表取締役

記事本文: 50